LE TEMPS Yoshiko Matsuda 2006/9/21 アラブ音楽
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チュニジアの仏語新聞Le Temps2006年9月21日付・松田嘉子の紹介記事

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2006年9月21日付ル・トン紙(クリックで画像拡大)

「芸術と文化」面
《肖像》 松田嘉子

 松田嘉子はチュニジアといつも親しい関係を持って来た。そしてまもなく、メディナ音楽祭に3年連続で出演する。10月10日、クラブ・ターヘル・ハッダードで、ル・クラブ・バシュラフのメンバーとして。この才能豊かな演奏家のタクスィーム(即興演奏)を、まだ味わったことのない人たちにとって、見逃せない機会である。

アラブ・リュートの日本のヴィルテュオーズ

 このチュニジアの地で、1992年から95年まで松田嘉子がウードの理論を学んだことは知られているかもしれないが、その後彼女は各地でコンサートを行ったり、エジプトでナスィール・シャンマのアラブウードハウスにおいて学んだり、あるいはフランスでパレスティナ人音楽家アデル・サラマーに師事したりしたのである。「アデルはたいへん強い音楽的情熱をもって集中レッスンをしてくれました。この指導は私を、テクニックばかりでなく、演奏や表現、また音楽的創造という点で、大きく進歩させてくれたのです。」と彼女は言う。

 ナイ奏者竹間ジュンと一緒にル・クラブ・バシュラフを結成後、彼女は世界を舞台に、2002年にはパリのアラブ世界研究所で第3回音楽祭に出演し、同年あの有名なカイロオペラハウスのアラブ音楽祭にも出演、また2003年にはバハレーンで情報省による招待公演を行った。

 チュニジアでは、第22回、第23回メディナ音楽祭参加の他に、2001年にはアンサンブル・ヤスミンのメンバーとして、モナスティール、スファックス、チュニスでコンサートを行っている(アンサンブル・ヤスミンとは、アラブ音楽と日本音楽を融合する日本人演奏家グループで、ウード、ナイ、ヴァイオリン、箏、三味線、尺八から成る)。

 一方、チュニジア人音楽家スラーフ・エッディン・マナーやパレスティナ人ウード奏者アデル・サラマーを録音し、彼らのCDを出版する仕事にも携わった。

 この献身的な我々のアーティストは、日本では現在、多摩美術大学でアラブ音楽の講義を持ち、また2004年からは、我々の誇るテノールであるロトフィ・ブシュナークや、ウード奏者ナスィール・シャンマを日本に招聘した国際交流基金のアドヴァイザーである。日本人の聴衆に美しいアラブ音楽を発見させる仕事を、今後も続けたいと彼女は言う。

 ありきたりのレッテルや話とはほど遠く、松田嘉子はこの現代世界が夢見る「異文化受容」をもっともよく体現しており、我々の音楽やアラブ文化に称賛すべきオマージュを捧げている。それは、光を避けた舞台裏にすぎないエアコンの効いたホール内で「文明の対話」と称して行われるセミナーに飽き飽きしているこの時代、文化交流と他者への開示というスタイルの、優れた実践なのである。 アドナン・ヒラーリ


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