第25回地中海学会大会「地中海トーキング」 アラブ音楽
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松田嘉子、沖縄県立芸術大学でパネリスト



松田嘉子は、6月30日(土)に行われた第25回地中海学会大会(沖縄県立芸術大学)において、「地中海トーキング」にパネリストとして出演し、チュニジア音楽の話をしました。


第25回地中海学会大会

日時:2001年6月30日(土)・7月1日(日)
会場:沖縄県立芸術大学 (那覇市首里当蔵町4-1)

地中海トーキング「島と唄と祈りと」
6月30日(土)15:30-17:00 奏楽堂ホール

パネリスト:
赤嶺政信 (琉球大学・民俗学)
井本恭子 (大阪外国語大学・文化人類学)
松田嘉子 (ウード奏者/多摩美術大学・アラブ古典音楽)
司会・武谷なおみ (大阪芸術大学・イタリア文学)



松田嘉子トーキングの要旨

チュニジアの伝統音楽は、アルジェリア、モロッコ、リビアなどと共通する、アラボ=アンダルース音楽の流れを汲んでいる。それは、アラブがスペインを支配していた9世紀から12、3世紀頃もっとも発展し、以後は再び北アフリカの地に持ち帰られた音楽遺産である。チュニジアではそれをマルーフと呼ぶ。またチュニジアには、エジプトやシリアなど、地中海の東側のアラブ諸国およびトルコの音楽の影響も強い。こちらはシャルキーと呼ばれる。
 アラブ音楽では、歌がもっとも重んじられ、器楽はそれを模倣する。チュニジア人も例に漏れず歌が大好きで、伝統音楽であるヌーバも、歌と器楽を交互に楽しむための組曲である。そして20世紀に、チュニジアの歌は大きく発展する。
 1934年、マルーフの継承発展を目的として、チュニスにラシディーヤ研究所が設立されたが、そこに集った作曲家や歌手の間で、新しい音楽もまた創造された。代表的な作曲家に、ケマイエス・テルナン(1894-1964)やムハンマド・トゥリーキー(1900-1998)、歌手にはサリーハ(1914-1958)がいた。サリーハは類い稀な声を持つ不世出の歌手で、作曲家たちは彼女の声に魅せられて、数々の名曲を創作した。[一例としてケマイエス・テルナン作曲によるサリーハの歌「キフ・ダール・カースィル・ホブ(いかに酌み交わす恋の杯)」を披露。]
 古典から現代に至るまで、歌の内容は、愛の歌が圧倒的に多い。恋人の不在を嘆き、その帰還を待ち望む気持ちが、神を待ち望む気持ちにも似て、恋の歌の中に真摯な祈りとして結晶している。

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